新興国の自動車市場は必ず急成長する。BRICsを自分の目で見ることで、「自動車産業の明日」を知るきっかけにできるのではないかと思い、BRICs自動車ショー巡りの旅を始めた。最初に訪れたのは2008年夏のロシアだった。
リーマンショックが起きた2008年秋の直前、私はかねてから希望していたロシアを訪れることができた。きっかけはモスクワではまだ珍しい国際自動車ショーが開催されることを知ったからだ。
経済が急成長する新興4カ国をBRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)と呼ぶが、ブラジルを除くと、インドも中国もロシアも日本からは比較的近い国であるにもかかわらず、実態はあまり知られていない。新興国では、先進国がそうであったように自動車市場が必ず大きく立ち上がる。GDP(国内総生産)と自動車市場は一心同体のように拡大するものだ。
つまり、BRICsをじかに自分の目で見ることで、「自動車産業の明日」を考えるきっかけになるのではないかと思い、「BRICs自動車ショー巡り」の旅を始めたのだ。その最初に訪れたのが、2008年夏のモスクワ自動車ショー(モスクワ国際モーターショー〈Moscow International Automobile Salon 2008〉:2008年8月26日・27日プレスデー、28日トレードデー、8月29日~9月7日一般公開)。
フライトの関係で成田からパリ経由でロシアに乗りこんだ。エールフランスのボーイング777は最終目的地のモスクワ上空を通り越し一度パリに降り、フライトを乗り継いで東に戻るかたちでモスクワに着く。直行便なら9時間だが、このときは16時間もかかった。
近くて遠い国、ロシアはどんな国なのだろうか。社会主義が崩壊し、資本主義となってから20年の年月が経った。機中ではいろいろと考えを巡らせたが、頭に浮かぶのはせいぜい昔見たスパイものの映画ばかりで、そうした映画の中でロシアは常に悪役を演じてきた。
パリからモスクワに向かう機内で、偶然、仏シトロエンの役員と一緒になった。モスクワで開催される自動車ショーに新型モデルを発表するらしい。腕にはスイスの高級時計「ジャガー・ルクルト」の新作が光る。給料が高いのか、家柄がよいのか。着ているスーツも英国製で、裏生地のラベルがちらりと見える。
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